オムツの高性能化がオムツ離れを遅くする?
科学技術が発達し、人類の生活は豊かになった。
自動車やリニアモーターカーやスマートフォン等の発展がわかりやすい例だ。
科学技術は衣類にも大きな進歩をもたらしている。着心地が良く、機能性にも優れた衣類が大量に発明されている。
オムツも例外ではない。オムツの発達により、赤ちゃんは快適な生活を送れるようになった。だが、その快適さが赤ちゃんの「オムツ離れ」を遅らせているのではないか。
「オムツ離れ」について調べた結果、赤ちゃんの「オムツ離れ」の時期には個人差があるが、大体2歳から4歳頃に「オムツ離れ」をする子が多いらしい。
自分で歩けて、2~3時間に1度だけトイレに行けば良くなる時期がこの辺りなのだろう。昔の「オムツ離れ」の時期に関してはわからなかったが、もしかしたら遅くなっているのかもしれない。
トイレトレーニングには親と子が共に頑張ることが欠かせない。だがオムツの高性能化によって近年は親も子も、「オムツ離れ」はいつでもいい、という価値観が芽生え始めている。吸水性が高まったり、うんちポケットが出来たりしたことで、オムツのままでも部屋は汚れないし、子も不快さがそこまでない。そうなってくると「オムツ離れ」の必要性が薄れ、「オムツ離れ」の時期が遅くなる。
人間の成長の一因には「不快からの脱出」がある。
わからないことがあると「モヤモヤ」して、わかると「スッキリ」する。負けると悔しいから努力する。これらは人間の「不快」との闘争だ。
お漏らしが「不快」でなくなった結果、人間は「オムツ離れ」と闘う必要が無くなってきているのだ。
これは子どもの「オムツ離れ」だけには収まらない。オムツ離れが遅くなった結果、人類は次第に「オムツ離れ」をする必要があるのか疑問に思い始める。そして更にオムツが発達し、大人の1日分の排泄物を吸収出来るようになったとき、人々は気づくのだ。
オムツ履けばトイレ要らなくね?
気がついた人々は逆に「トイレ離れ」をし始める。人々はトイレに行かなくなり、町から公衆トイレが消え、家からもトイレが一掃される。尿意や便意を催せば、そのままオムツに用をたし、そのうち小便や大便を垂れ流すようになる。
だが、時代の流れに抗うものは必ず出てくる。
それが俺たち「我慢した後のトイレが快感派」通称「ト快派」だ。俺たちは垂れ流しの人類に絶望し、トイレの文化を守ろうとする。最初は人々にトイレ文化を啓発していた「ト快派」であったが、世の中の「トイレ排除」の流れに逆らえないとわかると、暴走を始める。オムツの不買やオムツの追い剥ぎを始めたのだ。「ト快派」は世の中のバッシングをくらい、「トイレ排除」はますます加速した。
そして、TOTOとINAXが倒産した西暦3749年、事件は起こった。
「トイレの密造」だ。
世界の禁忌と化していた「トイレの密造」を主導した俺は、すぐに「オムツポリス」に捕まり、その場で裁判にかけられ、無期懲役となった。そしてこの裁判の閉廷と共に、「トイレ」は絶滅したのだ。
これが俗に言う「皆シクシク(3749年)トイレの絶滅」である。