人生で最も忙しかった時にYouTuberになった話。
昔々の話だが、YouTuberをしていたのでその時の話をしたいと思う。
あれは学生にとって、とっても大事な試験の1週間前であった。
「YouTuberになろう。」
ふと思った。
落としたら即留年レベルの大事な試験のために
半年間毎日、趣味の時間を削って、一生懸命勉強した。
みんなのペースに置いていかれないように、毎日図書館に通い、一生懸命勉強した。
自分が避けていた分野も逃さず、一生懸命勉強した。
それぐらい頑張っていたのに、
1週間前に、
YouTuberになった。
動画を作るために
毎日投稿を目指して、勉強時間をすべて費やし、一生懸命編集した。
みんなにバレたくなかったから、家に籠って、一生懸命編集した。
自分のリアクションを一言一句逃さず、一生懸命編集した。
何が俺をそこまで駆り立てたのか。
大好きなゲームを実況したくなった…わけではもちろんない。
大人気YouTuber達をみて憧れて、そうなりたくなった…わけでもない。
ただただ自分の製作欲求を満たしたくなったのだ。
顔は勿論のこと、身体も、声ですら動画に出したくなかった。
身バレが怖すぎた。
もしも同級生にバレたら、馬鹿にされるかもしれない。
同級生にバレたら、大事な試験の前に動画を撮っている奴は「動画マン」とあだ名をつけられること必至だ。
それでも動画を作りたかった。
何としてでも身バレをせずに動画を作りたかった。
声すら出さないために、俺は字幕形式の動画を撮ることにした。
有名なゲームでは面白くないと思い、ノートパソコンで出来る、実況OKのフリーゲームをプレイした。
そして自分のプレイしたゲームに自分で字幕をつけ、公開した。
その結果
誰も知らないゲームを、
誰も知らないところで、
誰も知らない男がプレイしている
という無音動画が出来上がった。
その動画は他の誰にも見られず、日々投稿されている数々の動画の波に埋もれて消えていったが、俺は満足だった。
承認欲求を満たすわけでもなく、ただただ無心に動画を作り続けた。
今日も動画作成、明日も動画作成。
誰にもバレないように、自分の製作欲求を満たす作業は、とても心地よい快感であった。
誰にもバレないように隠れてHをする様に、とろけるような快感だった。
Hibi、HitoriでHiwaiなHimegotoをHyogennしたのだ。
……試験の2日前、俺は突然我に返った。
そしてその後の2日間、全力で勉強に取り組んだ俺は、平均点で無事試験に通った。
YouTubeには5本の動画が残された。
たった5日間ではあったが、毎日投稿を果たした俺の軌跡。
あれから一度も開いていないチャンネルに、俺の奇跡の5日間が誰にも見つかることなく眠っている。
…そして現在、
ブログを立ち上げている。
知り合いにバレないように、こっそりとブログとTwitterアカウントを立ち上げた。
アフィリエイトを設定するでもなく、毎日ブログを更新している。
変わったことといえば、承認欲求が育ってきていることだ。
誰かにこの心の扉を開放した駄文を読んでもらいたい。
その様は
まるで
露出魔。