オープンセサミ

医学生が心の扉を解放して書くブログです。ゲーム、読書、勉強などなんでも書きます。ふざけた記事を量産したい。

結婚とは~黒田健司「ウェディング・ドレス」~

何を信じればいいのかわからない


何かが食い違っている。
半分も読まないうちにそう感じ出す。
どちらも嘘はついていないと信じたい一方で、どちらかが嘘をついていると感じてしまう。
自分はSF小説を読んでいるのか、これはパラレルワールドの話ではないのか、読み進めていくうちにいいようのない不安に襲われてくる。

 結婚を控えた幸せな男女に奇怪な現象が次々と襲い掛かる。
文章であっても目を覆いたくなるようなエログロな事件とどう考えても食い違う互いの主張、そんな事件の真相が気になり、最後のページまで一気に読み進めてしまう。
そして真相を知ったとき、今まで感じていた不安や疑問は一気に解消され、いいようのない安心感や解放感に包まれるのである。


これは間違いなく推理小説であり、一人称視点でウソをついているものは一人もいないのである。

今回自分が読んだ本は黒田研二の「ウェディング・ドレス」である。
黒田研二は「逆転裁判」や「青鬼」のノベライズを手掛ける推理小説家である。
「ウェディング・ドレス」は第16回メフィスト賞を受賞しており、その冠に違わないインパクトを自分に与えてくれた。


作品の感想

この作品は殺人事件の真相に驚くというよりも作品全体の謎の方に驚く作品であった。
彼氏と彼女のどちらかが嘘をついていなければ成り立たないのではないかと思うほどよく練られた構成で、読んでいる間疑心暗鬼に陥っていた。

エログロの要素も強かったが、世界観に飲み込まれていくような素晴らしい表現で、汚いという感想は持たなかった。

推理小説としても面白いものであり、ストーリーがより一層面白いため、ストーリー重視で読んでも楽しめる作品であった。

この作品の真相は、2018年の現在では似たような構成の作品が沢山輩出されてしまっているため、それらの作品を読んだことがある人はなんとなく予想がついたまま読み進めてしまうであろう。
やはり本は発刊されてすぐが一番楽しめる時期である。
10年以上経ってから読むと後続の作品を先に読んでいてしまっていたり、どこかでネタバレを見てしまうリスクが高くなってしまう。


最後に

自分はこの作品に新たな衝撃を与えてもらった。
二転三転する物語をとても楽しむことが出来たし、読んだことがないみなさんにもお勧めできる作品である。

今回は個人的な縁がありこの作品を読むに至ったため、まだ他の作品を読ませていただいていない。
彼の他の作品も是非読んでみたいところである。
他の作品を読んだことがあるという読者がいればおすすめを聞かせていただきたい。